
29日、アプラホールでは防災教育・地域防災力の研究における第一人者である群馬大学大学院の片田敏孝教授をお招きし、防災教育講演会が開催されました。片田教授は、東日本大震災で「釜石の奇跡」として話題となった、釜石市の児童・生徒を中心とした津波防災教育に取り組んでおられ、地域の文化として災害を克服する知恵や立ち向かう姿勢の定着を図られています。今回の講演には、その片田教授から地域の防災力の向上について学ぼうと、約400人の方々が参加。そのうち、約半数が市内小中学校等の教員の方々です。
大津波からそれぞれの判断で逃げ、生存率99.8%(釜石市の小中学生)を達成した「釜石の奇跡」。講演の内容は、その背景にあった“子どもたちに対する徹底した防災教育”について。自分の命を守るための主体性を持った判断、避難の途中では園児や高齢者たちを助け、想定外を生き抜く力を発揮した子どもたちは、いったいどのような防災教育を受けていたのでしょうか。その理由について、片田教授はこのように語られました。

「津波常襲地域でも、津波警報で避難しないことが常態化しています。また、災害の恐ろしさのみを伝えたり、主体性のないまま災害知識のみを伝えたりする“効果的でない防災教育”が行われる場合が多い。
では、子どもたちにとって正しい防災教育とはどのようなものでしょうか。それは、自然を知り、その営みに畏敬の念を持ち、自らの命を守る主体性を育むこと。加えて、災いをやり過ごす知恵を身に着け、心の底から“逃げたい”と思う気持ちを醸成することです。
主体性や知恵を身に着けるためには、「想定にとらわれるな・最善を尽くせ・率先者たれ」という避難3原則を徹底しなければなりません。また、“逃げたい”という気持ちの醸成には、子どもの年代や特性に応じた教育が必要です。
例えば、小さな子どもには「もし、君たちが家で待っているような子だったら、君たちのお母さんはどうするだろう?」と問いかけてみます。考えた子どもは、自分が逃げることでお母さんも家に戻らずに済み、親子で助かることができるという答えに気づくでしょう。いざという時に自分はどう行動するのか。このような話題を普段から家庭内でしっかりと話し合い、信頼関係を築いておくことが大切です。そして、これが“津波てんでんこ”の真意でもあります。」
※津波てんでんこ・・・三陸地方に残る、津波から子孫を残すための知恵。地震があったら、家族のことさえ気にせず、てんでばらばらに、自分の命を守るために一人で直ぐに避難せよ。一家全滅、共倒れになることを防げ。と、伝えられている。

子どもを介して親の関心を引き出すことで、津波防災教育の家庭への浸透を図り、それを地域にも広げていく。子どもから学校・家庭・地域で取り組んだ防災教育が、「釜石の奇跡」を起こした要因といえるようです。今回お話しされた防災教育を、参加されたそれぞれの方が家庭や学校、地域で実践し、防災力の向上に役立てていただけると素晴らしいですね。
8月11日には、岩手県大槌町の伊藤教育長による基調講演と、本市防災アドバイザーや阪口市長らによるパネルディスカッションが催される「防災シンポジウム」が開催されます。第2部では、大槌町在住の中学生歌手・臼澤みさきさんによる「東日本復興支援コンサート」も行われますので、日本レコード大賞新人賞にも輝いた“奇跡の歌声”を聴きに、ぜひお越しください。
posted by TAKAISHI at 14:15|
講演
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